※全10話の連載になります。
はじめに
「人生をやり直せるなら」
誰しも一度は考えたことがあるのではないだろうか?
「昔に戻れたら」
「あの時に違う選択をしていたら」
考えるときりはないが、私も「あの時に戻れたら」というタイミングがある。
それが今回お話する投資詐欺ビジネスに巻き込まれたと分かったときである。私は幸せの絶頂から、突然谷底に突き落とされるような絶望に打ちひしがれた。
人生は本当に何が起こるか分からない。
これからお話することは私の“実体験”に基づいている。
内容的に全てを公開することはできないが、できる限り包み隠さずに、私小川が体験した事実を述べていこうと思う。
このブログをお読みくださっているあなたにとって、何か一つでも今後に活きる情報になれば嬉しく思う。
成功を志す若者
話を少し遡らせて頂くと、私は大学3年生の頃から起業に強い興味を持っていた。
理由はシンプルで「自由になりたいから」である。
朝から晩まで会社であくせく働き、生活はいつもギリギリ。将来に夢も希望もない、という生き方はしたくなかった。
人生一度きりなのだから、もっ自由に選択できる環境を作りたかった。
「好きな時に、好きな場所で、好きなことをする」
自分の好き勝手に人生を謳歌したいと思ったのだ。
笑ってしまうくらい自己中心的な考え方だが、私の本質は大学3年生の時から変わっていないと思う。
今も懸命にビジネス活動に取り組んでいる根本にあるのは、自由を求めているからだ。
大富豪になりたいとか、世界を変えたいとか、そんな大それた目標があるわけではない。
しかし、自分自身が幸せになって、せめて身近な人達には幸せになってほしい。
そのためには「時間」と「ある程度のお金」が必要だと考えていた。
しかし、会社員として働き続けている限り、私が求める自由は手に入らないと思った。
懸命に働いても、自分で自分の収入を決められるわけではないし、長時間会社に拘束されてしまう。
仕事は人生の中で大半を費やすものだから、もし会社選びに失敗すれば人生の質にも大きな悪影響を与えてしまうだろう。
だから私は会社に依存するのではなく、自分自身が稼げる力をつけて「会社に行かなければ生活できない」いう呪縛から逃れたかった。
そう考えたのが、大学3年生の時だ。
そもそも今の時代、会社に勤めても長く続けられるとは限らない。会社もいつ潰れるか分からないし、転職したらまた一から下積み生活になる。
コロコロ職を変えていては、サラリーマンとして成果を出すことはできないだろう。色々考えて行き着いた結論は、私は圧倒的にサラリーマンに向いていないということだ。
それからどのようにしたら、自分が望む「自由」を手に入れられるか、というテーマを突き詰めて考え始めた。
その結果辿り着いたのが、自分でビジネスを所有するということであった。
しかし、学生で何の経験もなかった私は、何から始めたら良いのか分からなかった。
「一体どうしたらいいんだろう?」
この疑問から全てがスタートしたのだった。
あるトレーダーとの出会い
私は自分でビジネスをやりたいと思ってから、色々な人に「自分でビジネスがやりたい」と言い回っていた。
それが功を奏し、大学のゼミの先輩から若手社長を紹介してもらえることになった(ここでは便宜上Y社長と記載)
その辺りの経緯は私のプロフィールにも記載しているので、ぜひご覧頂きたい。
結局、そのY社長に弟子入りをするようになり、1年半ほどビジネスのイロハについて学んでいった。
Y社長は「社会起業家を育成したい」という想いから、学生向けのビジネス塾を開いていた。そのビジネス塾の運営に私もドップリ関わっていた。
約3ヶ月のビジネス塾なのだが、私は第1期生として入塾した。
全12回のコースで毎回何かしらの宿題が出される。
Y社長のビジネス塾は非常に魅力的な内容だった。
結局、第1期が終わってからも第8期までビジネス塾は募集が行われた。
私は第2期以降の集客、プレゼン、アフターフォローを行っていた。
お金に関するところ以外は、運営全般的に関わっていたということになる。
そして第5期に入塾したメンバーの中に、非常に変わった男がいた。
言い方は悪いがダサい格好をして、まるでオシャレに気を配る様子もない。
無口で他の受講生とほとんど交流を持たずに、坦々とビジネス塾に通っていた(その男を便宜上Kと呼びたい)
Kの話を聞くと、当時19歳にして株式トレードをしていると言うのだ。
「19歳で株式投資?マジかよ!」
年齢的に当然自分の名義では運用できないので、母親の名義を借りて運用をしているらしい。Kは100万円ほどの元金で運用していて、コツコツと利益を積み重ねていると語っていた。
これにはとても驚いた。
三流大学に通っていた自分の周りには、株をやっている友人なんて当然皆無である。
Kは年齢的には私の4つ下になるが、自分よりも年下の学生が株式投資で利益を出しているなんて、Y師匠のビジネス塾には本当に変わった学生が入ってくるなと思ったものである。
しかし、Kは元々無口だったため当時私もそれほど深く交流はしなかった。
ほかの受講生と仲良くなり、結局Kとは連絡先も交換しなかった。
それから約4年間、全く連絡を取らずにお互いが別々の日々を過ごしていた。
FacebookでKと再開
ところがひょんなことからKと再会することになった。
理由はFacebookだ。
Facebookの「友達かも」にKが出てきて、そこからFacebook上だけで関係が復活したのである。
当時、私はあるネットワークビジネスの会社に関わっていたため、こちらからKに連絡をしてアポイントを取った。
会いたかった理由は「Kならお金を持っているから製品くらい買ってくれるだろう」という邪な気持ちからである。
約4年ぶりに会ったKは、学生の頃と変わらず株式投資をしていて、順調に利益を出していると語っていた。
相変わらず言葉の使い方がヘタで、コミュニケーション力が低かった。
ただ、そのKの雰囲気が自分のイメージしているトレーダー像とリンクしていた。
日中は誰とも会話をせず、パソコンに向かい黙々と株の取引をしているのだろうと、勝手にイメージを膨らませてしまった。
結局、ネットワークビジネスの話は断られてしまい、Kとはそれから2年間会うことはなかった。
Kから突然の連絡
ある日、Kから突然Facebookメッセージが届いた。
内容は「新しい事業を立ち上げるから話を聞いてほしい」というものだった。
「ん?トレーダーなのに新しい事業??」と、私の頭の中はハテナマークでいっぱいになった。
「もしかして、Kもネットワークビジネスを始めたのか?いや、Kのようなタイプの人間が関わるビジネスではない。一体どのようなことをやろうとしているのか。会って話を聞かないと分からないな」
メールの文面だけでは判断できなかったので、まずはKに会うことにした。
それが2015年の春頃の話だ。
2年ぶりにKと再開
約2年ぶりに会うKは、以前会った時と全く変わっていなかった。
相変わらずダサい格好をして、オシャレに気を使う様子もない。
ボサボサのテンパの髪で、似合っていない黒縁メガネをかけていた。
「全然変わらないな、この男」
その変わらなさが、逆に安心感を与えるほどだった。
私が彼に抱いていたイメージは「トレードのスキルだけが突出した変人」というものだった。
話をしていても会話はヘタだし、相手の気持ちを汲み取るのも苦手なタイプだ。
その変わらなさを見て「相変わらずトレードばっかりやってるんだろうな」と感じた。
小川 : なんか新しい事業を立ち上げるってメッセージに書いてたけど、具体的には何をやろうとしているの?
K : 新しく運用の事業を始めたいと思っています。具体的には外部からお金を集めて、僕が皆さんの代わりにお金を運用していきます。一口50万円で考えているのですが、小川さんも乗りませんか?
相変わらず言葉が足りない男だ。
この説明だけでお金を出す人間がいる訳ないだろう。
小川 : 言っている内容は理解できるけど、それでお金出す人はいないと思うよ。
K : 最初のうちは月利5%出しますよ。
小川 : いや、そういうことじゃなくてね。説明が足りなさ過ぎて、判断できる材料がほとんどないよ。
そもそも、なんでその事業を始めようと思ったの?だって個人トレーダーとして儲かっているわけでしょ?なんでわざわざリスクを背負って外部から資金を集めるの?その行動自体意味が分からないんだけど。
しどろもどろになりながら、Kが事業を立ち上げようと考えた経緯について語り始めた。
K : これから日本の円の価値が下がると思っているんです。
K : だから資金を集めて代わりに運用してあげようと思っています。
K : 外貨で保有していた方がリスク分散になりますし。
K : まずは3,000万円を目標に資金を集めて運用しようかと思っています。
んー、なるほど・・・
何が言いたいのか、
さーーーっぱり分からない。
小川:あのさ、何が言いたいか全然分かんないんだけど。
Kのプレゼン能力の低さが突き抜け過ぎていて、事業の全体像が全然見えてこない。
Kが会話で話すのはほとんどが「結論のみ」なので、その理由づけや興味づけの話などはほとんどしない。
今までの話で理解できたのは、
・新しい投資の事業を始める
・外部からお金を集めて代わりに運用する
・最初は3,000万円を目標に資金集めをする
・リスク分散のために外貨で資金を保有する仕組みを作る
・代わりに運用してもらうためには、一口50万円預ける必要がある
という内容だった。
はっきり言って誰もKには頼まないだろうな。
小川 : だからさ、なんでこの事業を始めようと思ったの?結論しか言ってないから、バックボーンにある理由がまるで分からないんだよね。理由が分からないと誰の心にも響かないし、お金なんて集まらないと思うよ。
メリットばかり説明しているけど、はっきり言って怪しすぎ。なんでこういう事業を立ち上げようと思ったのか、本音を教えてよ。
そうすると、Kはしどろもどろになりながら、拙い説明を始めた。
K : 僕は、これから日本が経済的に苦境に陥ると思っています。
小川:うん、それで?
K : 2020年にオリンピックが開かれますよね。その前までは日本の経済は何とか踏みとどまれると思います。だけどオリンピック以降を考えた時に、日本の景気が良くなる材料って、ほとんど見当たらないと思うんです。
小川 : それは俺も同意見だね。
K : これから世界的に考えて、日本の国力は落ちていくと思います。国力が落ちるということは、日本の円の価値が下がっていくことになります。
仮に今1ドル100円前後で変動している通貨が、1ドル200円、最悪1ドル300円なんていう時代がくるかもしれません。
そうなると、頑張ってサラリーマンの方が蓄えたお金も、実質的な価値が2分の1、3分の1と下がっていくことになります。何も知らずに円だけで保有していると、気がつけば財産が目減りしていくということです。
しかもこの原因を作っているのは、政治家や官僚が行っている国の政策によるものです。結局は、一番割を食うのは一般の人達になります。実際に政策を決めている権力者や頭の良い人達は、海外に資産を逃がして、とっくに予防策を講じています。
でも何も知らない人達は、このままだと大きなダメージを受けてしまうかもしれません。僕はそういう人達のために、頑張って蓄えた資産を守り、堅実に増やしていく運用会社を作っていきたいのです。
僕個人のことで言えば、今は資産で1,300万円くらいはありますから、このまま運用していけば問題なく暮らしていけます。でもほとんどの方が、運用の知識やスキルを持っていません。
これからの時代、資産防衛と運用ができる仕組みが今まで以上に求められると思います。そのために外部から資金を集めて、ゆくゆくは大きなファンドにしていけるように、事業展開をしていきたいのです。
…
…
というのがKの話したいことだった。
はっきり言って、ここまで流暢に話はしていない。
話は飛ぶし、まとまっていないので私小川で要約させて頂いた。
Kの話に1時間半耳を傾けていたが、ようやく彼が何を言いたいのか理解できた。
なるほど、そういうことか。
それだったら知らない仲でもないし、できる範囲で協力してあげてもいいかな。
そう思ったのが、Kと事業展開を始めるきっかけになるのであった。
トレーダーは変人なのか?
正直、最初は積極的に協力するつもりはなかった。
「お金に余裕があって投資に興味がありそうな人がいたら、紹介してあげようかな」
くらいの軽い気持ちで考えていた。
しかし「できる範囲で協力するよ」と言ってから、Kは驚くほど積極的に連絡を取ってきた。
「紹介できそうな方はいましたか?」
「こういう資料を作ってみました」
という感じで、普段無口なキャラからは想像できないほど、マメにLINEを送ってきた。
こちらも“できる範囲で”というスタンスだったので、Kのあまりの空気の読めなさに、「いい加減にしろ」と何度も激怒した。
しかしKは呆れるほど切り替えが早く、こちらが何度注意してもめげずに連絡をよこしてくるのだ。
あそこまで強く言われたら普通連絡を控えるのに。
つくづく一般人とはかけ離れたメンタルを持っているのだと、逆に感心したものである。
トレード以外何もできない男
Kが熱心に連絡をしてくるので、直接会う頻度も増えていった。
何せKは自分で事業を立ち上げたことがない。
もっと言うと一般的な会社で働いたこともない。
つまり社会常識が大きく欠落しているのである。
Kが作って見せてくる資料も、はっきり言ってどうしようもないものばかりだった。
Kが資料を送ってくるたびに、修正のアドバイスをしてあげた。
こうして何度かやり取りしていくうちに「トレード以外は何もできないんだな」と理解した。
Kは定期的に、取引履歴や損失と利益確定の推移などの運用成績を見せてきた。
特に近年は調子が良く、月利15%をコンスタントに出せるようになってきたと語っていた。
月利15%と聞くとピンとこないかもしれないが、これは凄い数字なのである。
月利15%をコンスタントに出せるのであれば、1年間で資金が2倍以上になることになる。
100万円の元手でも、複利で月利15%の運用を10年も続ければ余裕で億万長者だ。
単月で月利100%や200%という謳い文句を見かけることもあるが、トレードは勝ち続けるのが難しい。
一時期勝てていても、そこから大負けして相場から姿を消していくトレーダーは後を絶たない。
もしKの話が本当で、コンスタントに月利15%が出せるのであれば凄い実績である。
運用成績もマメに記録しているようだし、トレーダーとしての腕があるのは伝わってきた。
ただ、他に欠落している部分が大きすぎる。
K一人で事業を立ち上げたとしても、必ず失敗すると思った。
事業で失敗するということは、関わってくれる方達にも迷惑がかかるということだ。
ここまで相談に乗っていることもあり、Kへの協力体制を徐々に強めていった。
幸いビジネスの立ち上げばかりに関わってきたので、このような状況からビジネスを構築するのは得意である。
Kはトレード以外の取り柄が今のところ見つからないが、逆に言うと彼のトレードの腕が間違いなければ、ほかの要素が違う人間が補えばいい。
お客様からお金を預かって運用する事業なのだから、Kの運用の腕がなければ成立しないのである。
そこさえきっちりやってくれたら、自分である程度はサポートできると思った。
その考えが地獄への入口だとも知らずに…
今振り返ってみると、ここが私のターニングポイントだったのだろう。
もし過去に戻れるとしたら、この時の自分を殴ってでもKとの事業を引き止めたい。
本格的に事業スタート
そこから話し合いを重ねて、Kと本格的に事業展開をしていくことになった。
自分はフリーランス(個人事業)だったので、Kの会社とパートナー契約を結び、成果に応じた報酬を受け取ることになった。
まぁ、分かりやすく言うと代理店のような契約である。
この記事を見ている方には、できる限り包み隠さずお伝えしようと思う。
Kの運用成績を見ていると、毎月13~18%の間を推移している状況であった。
平均すると15%強の運用成績である。
つまり資金を集めたとして、この15%の利益から分配をしていくことになる。
Kの提案は、
・お客様への分配:5%
・Kへの分配 :5%
・営業経費 : 5%
ということであった。
コンスタントに毎月15%の運用利益が出ると仮定しての話だが、
大まかに分配のポイントを3つに分けるというものである。
利益分配の優先順位は、
・お客様への分配が最優先
・パートナーへの報酬支払いが二番目
・Kが受け取る利益が最後
このように取り決めを行った。
もし運用成績が15%を下回る場合は、Kの分配分を減らしても良いということである。
成果にこだわりたいから、月利10%以上の成績を超えたところから利益を得られる仕組みで構わない。
そう話すKからは、トレーダーとしての自信を感じさせた。
その代わり、月利15%を超えた利益が出た場合は、Kがその利益を受け取るということになった。
そして、代理店として活動する私への報酬分配は、営業経費の5%の中から支払いをしていくということになった。
さらに、事業展開を進めていくうえで色々な経費が掛かることが予想される。
そのため営業経費をさらに2つの項目に分けることになった。
・紹介料:3%
・諸経費:2%
この紹介料の部分が、代理店つまり私への報酬額としてKが提示してきたものである。
今回の運用の話を誰かに紹介して成約に至った場合、紹介料として3%を報酬として受け取ることができる。
仮に、誰か一人を紹介して100万円の成約に至ったとしよう。
その場合、お客様が100万円をKに預けている限り、毎月3%(3万円)を報酬として継続的に支払うという提案をしてきた。
仮にガンガン営業をしていき、1,000万円以上の金額を集めることができれば、毎月コンスタントに30万円以上の報酬がKから振り込まれることになる。
そうなると、個人で食べていくくらいは問題なくできてしまう。
感覚の話にはなるが、直観的に1,000万円くらいなら集められそうな気がした。
さらに、私の場合は事業の立ち上げ初期から関わっているので、2%の経費で余った分も報酬に上乗せするということになった。
営業経費と言ってもアポイントの際のお茶代やセミナー開催費用くらいなので、実質4%くらいの報酬分配になる。
金額だけみると「マジか!」と思った。
今振り返って考えると、この辺りからお金で目が曇っていったのかもしれない。
圧倒的に良い条件を提示されると、それを手放したくないために、重要な場面で判断を誤ってしまう。
当時、そのことに気がつかなかったのが悔やまれる。
損失時にはどう対応するのか?
今まで美味しい話ばかりKから聞いてきたが、投資にはリスクがつきものだ。
外部からお金を預かったとしても、損失を出すことも当然考えられる。
「投資に失敗しました、ごめんなさい」
では済まされない。
いかに学生時代から10年近く投資で勝ち続けてきたと言っても、それだけで大切なお金を出すほど甘くはない。
率直に意見をぶつけてみた。
小川 : 損失を出したらどうするの?
K : 今自分には運用資金が1,300万円程度あります。そのうち300万円を使って取引しています。プール金として蓄えているお金が1,000万円くらいです。
プール金の1,000万円は、いざという時のために手を付けずに別の口座で管理しています。ですから、もし仮に外部からお金を預かって損失を出したとしても、1,000万円以内であれば補填することが可能です。
むしろプール金以上のお金を預かるつもりはありません。プール金でカバーできる範囲内でやろうと思っています。プール金が増えたら受け入れる額を増やしていきます。
小川 : 言葉だけでは信じられないから、証拠を見せてよ。
そういうと、KはおもむろにH銀行の残高証明を目の前に出してきた。
その残高証明には確かに1,000万円以上の資金が入っていた。
小川 : なるほどね。これならプール金以上のお金を預からなければ、最悪運用で失敗しても何とかできそうだね。
Kが見せてきた残高証明で、私はすっかりKの投資の腕を信用してしまった。
最悪の結末へと突き進んでいることも知らずに、私はKとの運用事業に、どっぷり関わっていくことになるのである。
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・・・
第二話目に続く