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ヨガ教室に10回ほど通った頃…

私がたまたま地下歩行空間を
歩いていた時のことである。

歩いていると、
どこかで見たことのある
女性が前から歩いてくる。

「あっ、こうじさん」

知人の女性とばったり
再会することになった。

さすがに札幌はせまい。

いつどこで誰と
会うか分からない。

道端で会い、
久しぶりの再会で
近況を話していると

「近々お茶でもいきましょうよ」

という話になった。

・・・

数日後

パルコのスタバで
コーヒーを飲みながら、
近況報告をすることになった。

色々とお互いの近況を話し、
だいぶ会話も盛り上がった。

そして私は、

「最近、ヨガをやってるんですよ」

という話を始めた。

自分としては、
何気なく近況を

話したつもりだった。

すると知人の女性は、

「へぇー、ヨガですか。
 どんなヨガなんですか?」

と話に食いついてきた。

私は、

「なんか変わっているヨガなんですよ。真理とかカルマの法則とか、本質的なことを教えてくれるヨガでして。

一般的なヨガとはかなり違いますね。今は座学がメインで13~14回座学をやったら、実践的なことを教えてもらえるらしいです。

だから、まだ座学で基礎的なことを教えてもらっていますね」

という回等をした。

すると知人の顔色が変わった。

「ちなみに、ヨガの先生は何ていう名前ですか?」

「I先生ですね。下の名前は分からないです」

「50歳くらい?」

「そうですね」

「でも、年齢よりも若く見える?」

「そうですね」

「エネルギッシュでパワフルなヨガ歴20年くらいの?」

「そうですね」

「…晃司さん、そのヨガ教室の“結末”を教えてもいいですか?」

知人が意味深な質問をしてきた。

「えっ?結末ってどういう意味ですか?」

一瞬の沈黙が場を支配した。

・・・

・・・

「そのヨガ教室…

 オウムですよ」

「……えっ?

 ……オウムって、あのオウム(真理教)ですか?」

「そうです、あのオウム(真理教)です」

マジかよ…

突然のカミングアウトに
言葉が出てこない。

私の世代でオウム真理教を
知らない人はいないだろう。

かの有名な
「地下鉄サリン事件」で

日本全国に戦慄が走るほどの
インパクトを世間に与えた
宗教団体である。

サリン事件を引き起こしたことで
マスコミや警察、公安当局からも
徹底的に叩かれていた。

私が小学校の時、
テレビでも毎日のように
事件について報道していたので、

当時のことは脳裏に
焼き付いている。

通勤ラッシュの地下鉄に、
毒ガスサリンをまき散らし、

死者13名、
負傷者6,300名、

という大惨事を招いた事件である。

教祖である麻原氏をはじめ、
教団の幹部や事件関係者は
ほとんどが逮捕されていった。

そしてオウム真理教は
壊滅状態に追い込まれ、

オウム真理教から
「アレフ」という名前に
改称している。

まさか自分が通っている
ヨガ教室が、アレフの
覆面ヨガ教室だったとは…

言われるまで
気がつかなかった。

私の場合、
自らヨガを習いたいと
知人に声をかけていたから、

そのヨガ教室がアレフとは
一切警戒していなかった。

別に街角でキャッチを
されたわけでもないし、

自分からヨガ教室を
探して
Kさんに紹介を
お願いしていたから

警戒する要素がなかったのだ。

知人の女性は、
私にアレフの覆面ヨガ教室に
関するサイトを見せてくれた。

「このサイトに書いている
 通りじゃないですか?」

見せてくれたサイトには、
真理、宇宙の仕組み、
カルマの法則など、教室で
習った内容が書かれていた。

マジか…

いや、マジだな。

頭が混乱してうまく思考を
まとめられない。

「話を聞いている限り間違いないと思います。距離を置いた方がいいんじゃないですかね」

…確かにそうだ。

私は知人のカミングアウトに
困惑しながら、スタバを後にした。

自分が通っていた
ヨガ教室がオウム真理教だと
カミングアウトされたのだ。

とにかくこのままでは良くない。

私は、ヨガ教室を紹介してくれた
KさんにLINEを送ることにした。

知人から見せてもらった
サイトのURLを送り、

「こんなサイトを見つけました。書いている内容が通っているヨガ教室と同じ状況なのですが、アレフの覆面ヨガ教室じゃないんですか?」

とメッセージを送った。

完全に直球勝負である。

するとKさんから

「違うって!」

と返答があった。

あからさまな嘘をついてきた。

戒律(十の戒め)では、
ウソは『妄語』と呼ばれ
良くないこととされるのに、
平気でウソをついてきたな。

ウソをつくことで背負う悪業よりも
真理の道に導いて徳を積む方が
大事だと判断しているのだろう。

面白いと思っていたヨガ教室が
実はアレフ(オウム真理教)
だったなんてマジでシャレにならない。

知人は、

「距離を置いて
 フェードアウトした方がいいですよ」

とアドバイスをくれた。

確かにその通りである。
関わるのはリスクが高過ぎる。

でも気になるところもあった。

真理のある、なしは置いといて、
なぜオウムは、あれほど凄惨な
地下鉄サリン事件を起こして
しまったのだろうか?

そして現在教団にいる人達は、
地下鉄サリン事件をどのように
解釈しているのだろうか。

当時、私は確か小学校
5~6年生だったはずだ。

連日ニュースで
オウム事件が
取り上げられ、

小学生の私でも忘れられないほど
インパクトのある
出来事であった。

常識では考えられない事件が
実際に日本で起こってしまったのだ。

坂本弁護士殺害事件をはじめ
数々の事件を指示したと
されているのが、

オウム真理教の教祖、
麻原彰晃氏である。

真理の考え方でいくと、
殺生や人を傷つけるのは
御法度である。

なのに、
なぜそんなことをしたのか?

私は気になって仕方がなかった。

そして、知りたくなってしまった。

片足まで突っ込んでしまった
真理というものを。

そして、なぜ教団が
事件を起こしたのかを。

もし教団側が
主張する真理があれば、

今のままの延長線上で
生きていくのは
大きな
リスクとなってしまう。

なぜなら、現世に生きていると
悪業を積みまくるからだ。

真理の考え方からいくと
完全に地獄行きである。

真理を実践しなければヤバい
というある種の脅迫観念と、

教団の実態と真理を知りたくて
私は再度I先生の覆面ヨガ教室に
通うことに決めた。

今10回程度受講している。

紹介者のKさんの話では、
13~14回受講したら
実践編だと
言っていたので、

そのタイミングで
カミングアウトされるのだろう。

ということは、あと数回
通う余裕はあるわけだ。

私は知人の忠告を無視して、
再度ヨガ教室に通い始めた。


しかし、通い始めた初回の
覆面ヨガ教室で異変に気付いた。

I先生の様子がおかしい。
少し興奮気味である。

教室で話すことも、
いつもと違う内容だった。

「インターネットの情報はウソばかり」

「親身になって話をしてくれる私達より、誰か分からないインターネットの情報を信用するなんておかしい」

明らかに私がKさんに送った
LINEを間接的に責めている。

んー、もしかして本当は
アレフとは全然関係なく、

こちらが誤解しているだけ
なのだろうか。

もしこちらの勘違いなら、
悪いことをしたな。

そう思うくらい
I先生の迫力は凄かった。

その回のヨガ教室は、
いつもと違う雰囲気で終了した。

もしかしたら、
何かの間違いだったのかな。

心の片隅には、そのような
思いも芽生えていた。

とにかく、もう少し通って
どういう結果になるか様子を見よう。

そう思った。

…そして次のヨガ教室。

その時私は、
通っていたヨガ教室が

アレフであることを
カミングアウトされた。

「あー、やっぱりか!」

前回、あんなに興奮して
インターネットの情報を
信用するなんておかしいって
言ってたのに!

全然間違ってないじゃん!

結構、サクッとウソを
ついてくるんだな

そしてカミングアウトの時、
I先生は
私にいくつかの
資料を見せてきた。

「オウム事件は陰謀だったのです。
 この資料に証拠が載っています」

そして私はいくつかの
資料を見せられた。

見せられた資料の内容で
ポイントだと感じたのは
3つある。

まず一つ目は、
ジャーナリスト有賀氏が、

「地下鉄サリン事件はデッチ上げ

という発言をしている資料。

そして二つ目。

サリン事件が起こる前日に
警察が毒ガスマスクの
装着
訓練をしていたという資料

通常、警察は毒ガスを
対処する訓練などは行わない。

サリンの前日に訓練をして
準備していたということは、

警察はサリンがまかれることを
事前に知っていたということだ。

だから、
オウムが起こしたのではなく、
罪をなすり付けられただけ。

イルミナティが裏で公安や警察を
操り、オウム真理教をハメたのだ。

このような主張をしてきた。

そして三つ目。

権威者からの推薦である。

チベット仏教の偉大な指導者も
麻原氏を認めていると
しきりにプッシュしてきた。

カール・リンポチェ氏や
ダライ・ラマ14世も
麻原氏を絶賛していたと。

そして麻原氏とツーショットで
一緒に写っている
資料を見せられた。

私はこの資料を見た時、
かなり驚いた。

他にもいくつか資料はあるが
印象に残ったのは
これら三つである。

これらの資料を見せながら

「オウム事件は陰謀」

という主張を推してきた。

他にも証拠が載っているという
資料に目を通したが、

物的証拠や根拠と呼べる内容は
一切書かれていなかった。

しかし、覆面ヨガ教室に通い
時間をかけて信頼関係を構築され、
その上で勧誘されるわけだから

よほど冷静に物事を見れないと
情報を整理することができない。

話を鵜呑みにする人もいるだろう。

そしてI先生の迫力、説得力に
巻き取られてしまうだろう。

私は、勧誘されても絶対に
断わろうと決めていたので、
Yesとは言わなかった。

しかし、I先生の
クロージングが
半端ではない。

※クロージングとはビジネス用語で契約を締結させること。
ここでは「入信を迫る」という意味で使用している。

「小川さん、一緒に真理の道を歩みませんか?」

私は「いや」しか言えなかった。

I先生は、

「小川さんが決めることだから
 無理強いはできない」

「冷たい言い方をすると、
 小川さんが真理の実践をしなくても
 私には関係ないこと」

と言いながらも、5分置きに
クロージングをかけてくる。

言ってることと
やってることが違う。

「私が小川さんにここまで言うのは、
 お金儲けのためだからと思いますか?

 絶対に違うのは分かりますよね。

 小川さんが入信しようがしまいが、
 私には一銭にもなりませんからね。

 小川さんには本当の意味で
 幸せになってもらいたいんです」

I先生はこのように話を続けた。
相変わらずクロージングも続けてくる。

I先生は私が頑なに
拒否をしているので、

「小川さんは観念しないから…」

と言って帰っていった。

それにしても、今まで色々な
営業やプレゼンを受けてきたが

ここまでパワーに満ち溢れた
クロージングを受けた記憶がない。

本当に凄まじいクロージングである。

それほどまでに、
I先生の
エネルギー、
迫力は凄まじかった。

I先生は私が真理の道を
外れてしまったら地獄に落ちると
本気で考えているのだろう。

完全に信じているからこそ
驚くほどのパワーを
発揮しているのだと感じた。

これは、気持ちが
弱っている
状態で聴いてしまうと
確実に巻き取られてしまう。

近年、札幌でアレフの
入信者数が右肩上がりなのも
納得がいくと思った。

最強クローザーI先生が
いるのだから。

私は、今回の実体験から、
様々な気づきがあった。

覆面ヨガ教室は、私と紹介者の
二人だけの時もあったが、
大体は3~5人で行われた。

しかし、覆面ヨガ教室に
通っていた
他の方達は、

接した印象では
とても良い方達だった。

少なくても、あれほどの事件を
起こしてしまうような人達の
集まりには見えない。

では、現実問題として、
なぜ坂本弁護士殺害や
地下鉄サリン事件が
起こってしまったのか?

最初は本当に不思議であった。

アレフ(オウム)が
あれほどの非人道的な事件を
起こしてしまった原因…

それについては、
私なりの見解をまとめてみた。

これを自分一人で
留めておくのは良くないと
判断したので、

自らリスクを負い、
今回の出来事について
記事にしようと決心した。

では次回の後編では、
私の見解をより具体的に
述べていきたいと思う。

非常に重要な内容なので、
ぜひ目を通してほしいところだ。

色々私に言いたいことが
ある方もいると思うが、

次回の後編を見てから
情報を整理して頂きたいと思う。

・・・

・・・

後編につづく

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