【第11話】実録!ネットワークビジネス(マルチ商法)体験記

【第11話】実録!ネットワークビジネス(マルチ商法)体験記

【前回の話】第10話

「最後のチャレンジ」

そういうとカッコ良く聞こえるだろうか?

実際にチャレンジをして成功した時は、周りにはカッコ良く映るのだろう。

しかし僕は挫折した。

ネットワークビジネスというビジネスモデルに挫け続けた。

何も威張れることはない。

しかし最後まで伝えたい。

僕が経験した全てを…

まだ終わっていないのだ。

僕は最後にもう一社ビジネスを頑がんばった会社がある。

その会社の話を抜きにして、僕のネットワークビジネスのキャリアは語れないだろう。

M社のビジネスも挫折し動かなくなった僕に、再び転機が訪れた。

ネットワークビジネスを三社経験して気づいたこと

これまで「A社→M社→M社」と3社のビジネスを経験して、色々な気づきを得ることができた。

A社のビジネスをやっていた時は「A社のビジネスは古い」と思っていた。

しかし、実際に成果を出している人を見たことで、その考えは改めた。

今からA社のビジネスをやっても成果を出している人はいる。極めて難易度は高いと思うが、やれる人はいるということだ。

2社目のビジネスの時は、モメンタムに乗っかればビジネスはうまくいくと思った。ビジネスはタイミングが非常に重要だと思ったからだ。

しかし、結果はうまくいかなかった。

それだけではなく、すでに2社目のM社は買収されて会社自体が無くなっている。

2社目のM社は、日本に上陸してから相当注目されていた会社だ。一時は100億円を突破し、破竹の勢いで売上を伸ばしていた。

その会社が、今は見る影もない。

通常、モメンタムで急成長した会社は、5年も経つと急激に売上が下がっていく。

①モメンタムで急成長
②急激に売上が落ちる
③売上を立て直せず倒産、もしくは違う会社に買収される。

近年日本に上陸している新興勢力には、大体当てはまる流れだ。

ネットワークビジネスをやるうえで、絶対に避けなければいけないことがある。

それは会社が潰れることだ。

会社が潰れてしまうと、今までがんばって積み上げてきた収入が全てリセットされてしまう。

人を巻き込むビジネスだからこそ、潰れるリスクの高い会社を選ぶと後々大変なことになる。

そして3社目のM社。

リピート率の高さがあるので、今度こそ成功できると思った。

しかし、結果的には50人以上のグループを作ることはできなかった。

三社目の教訓で得たのは、ネットワークビジネスは『他馬力』にしなければうまくいかないということだ。

ネットワークビジネスはチーム戦だということを嫌というほど痛感した。

自分一人だけがバタバタ動いても、出せる成果はたかが知れているのだ。

しかし、自分と同じように流通を拡大させる人が、1人、2人、10人、100人と増えてきたら、加速度的にビジネスは発展していく。

つまりどれだけチーム戦で『他馬力』にできるかが、ネットワークビジネス成功の鍵だと感じた。

ネットワークビジネスのプロと繋がる

M社のビジネスも活動をやめてしばらくした頃、ある転機が訪れた。

僕がA社のビジネスをしていた時にお世話になったリーダーの方から一本の連絡を頂いたのだ(ここからはHさんと記載)

「ネットワークビジネスのプロの友人が情報交換できる人を探しているんだけど、コウジ会ってみない?」

なるほど。ネットワークビジネスのプロか…

ネットワークビジネスで成果を出している方には多く会ってきたが「プロ」と表現している方は初めてかもしれない。

しかし、M社のメンバーだし、もうビジネス活動もしていない。いまさら会っても仕方がない気がする。

でもお世話になっているHさんからの紹介だから、面子を潰すわけにもいかない。

そう思った僕は、このように返答した。

「情報交換は全然構いません。しかし僕は、M社のビジネスをやっているので、ほかに移る気はありません。それでも良ければ、時間作ります」

「それで構わないよ」

このような流れで、僕はネットワークビジネスのプロと呼ばれる方と会うことになった。

A社でビジネスをしているHさんも結果を出している方だったが、Hさんがプロと表現する方は、一体どんな人なのだろう。

単純に興味が湧いた。

こうして僕は、ネットワークビジネスのプロと呼ばれる方と、ご縁をいただくことになったのである。

ネットワークビジネスのプロと対面

今でも覚えている。

Hさんと待ち合わせした場所は、石山通りある「ガスト」であった。

A社の頃もそうだが、どうやら私は石山通りにあるガストに縁があるようだ。

僕が到着すると、すでにHさんとプロの方は席に座っていた。

禁煙席の窓側、一番奥の角の席だ。

四人座れるテーブル席で、右側にHさん。左側にプロの方が座っていた。

見た目はかなり若い。

年齢は僕とあまり変わらないのではないだろうか。

見た目は意外なほど普通だ。いや、正直に言うと最初は、少し怪しいと感じたかもしれない。

でも僕が想像していた方とはだいぶ違う。

ネットワークビジネスである程度結果を出している方は、なんというかギラギラしている印象がある。

高いブランド物の服、バッグ、靴、アクセサリー。

「俺って成功者だぜ!」

的なオーラを全開で出している人もいる。

しかしお会いしたプロの方は「ちょっと怪しいお兄さん」という印象だろうか。

僕が今まで見てきたタイプとは完全に別人種である。

そして、Hさんからの紹介で、プロの方と名刺交換をさせていただいた(ここからはYさんと記載)

Yさんは日本国内最大手F社でビジネスをやっているリーダーの方だった。

F社の噂はよく聞くのだが、詳しい話を聞いたことはない。

その時はF社に興味もなかったので、業界全体の話など、色々と話を聞かせていただいた。

いざYさんと話をすると、ネットワークビジネス業界に対しての知識が、驚くほど深い方であった。

ネットワークビジネス業界全体の流れや他社のこと。

そして自身のビジネス経験やビジネスのやり方など、色々な話を聞かせていただいた。

ビジネスへの興味が無くなった僕にとっても面白い話が多かった。

「さすが現場経験が長い方は、説得力が違うな」

つくづく感心したものだ。

こうしてYさんからは有益な話をたくさんしていただき、初めての情報交換はお開きになった。

Yさんとの再会

初めてお会いしてからすぐに、YさんからLINEをいただいた。

また近々会いたいという旨の連絡であった。

「んー、どうしようかな」

会っても仕方がないと思いながらも、邪険にするわけにもいかない。

一度会ってちゃんとお断りした方がいいな。

そう考えて、再びYさんと会うことになった。

2回目のお会いした場所は、確か同じく石山通りの「ガスト」だったと記憶している。

Yさんとお会いすると「小川君と一緒にビジネスがしたい」と直球で言われた。

はっきり言ってくれた方がこちらも回答しやすい。

「M社のビジネスをやっているので、ほかの会社でビジネスをするつもりはありません」と、お断りした。

するとYさんは「僕の紹介者に会ってほしい」と提案してくださった。

話を聞いていると、Yさんの紹介者である「Kさん」は、F社の中で今最も組織を拡大しているリーダーらしい。

僕が話を聞いた時、F社は日本で最も1年間の増収額が多い会社であった。

つまり日本一伸びている会社と言っていいだろう。

F社がすごい会社だと思ったのは、ある一定以上のタイトルの方には、会社の売上、新規増加率、地域ごとのメンバー数、地域ごとの売上、クレーム数、などを、全てガラス張りで公開しているところだ。

ディレクターというタイトル以上のメンバーには、会社から詳細な数字が書かれたレポートが配られる。

レポートを見ていると、売上を伸ばしている地域だけではなく、逆に減収している地域なども包み隠さず書かれていた。

僕はYさんにそのレポートを見せていただいたが、本当に驚いた。

ここまで数字を細かく公開しているネットワークビジネスの会社は、僕は見たことがなかった。

レポートを見てさらに驚いたのは、ここ近年、北海道地区が増収額でNo.1を達成している。

ネットワークビジネス未経験者の方はピンとこないかもしれないが、通常、北海道はビジネスの拡大が遅い地域だと言われている。

北海道で組織拡大するのは難易度が高いというのが、多くのリーダーの見解だった。しかし、その北海道でYさんや紹介者のKさんは全国No.1の増収額を達成している。

本当にすごいと思った。

僕がレポートを読むかなり前にF社は、東京や大阪などの大都市では売上が落ちていると噂を聞いたことがあった。

しかし、実際は逆である。

東京、大阪、名古屋、福岡などの大都市でも売上は伸びていた。つくづく噂はあてにならないと感じたものだ。

「もうF社は、首都圏では売上は落ちているから衰退する」

今思うと、言っていた方は、何を根拠に言っていたのだろう。

このレポートを見ても同じことが言えるのだろうか。

「そのレポートの中身が嘘かもしれないじゃないか」

まさかである。

もしこのレポートを誰かが税務署や国税局に持ち込んだら?

数字が嘘だった場合、会社の信用は失墜する。

行政処分も受けるだろうし、会社にとって大打撃になるだろう。

300億円以上の売上を出している会社が、そんなリスクを冒すわけがない。

※記事を書いている段階では約400億円ほどの売上

つまり僕に見せているレポートには、会社の真実が書かれていると考えるのが妥当だろう。

流通が伸びないと言われている北海道で、増収額No.1を達成させている立役者。

そんなリーダーに会えるなら会ってみたいと思った。

この流れは、A社のリーダーOさんを繋いでもらう時と酷似している。

自分でも自覚しているが、こういう好奇心に勝つことができない。

気になったら、確かめずにはいられないのだ。

こうして僕は、Yさんの提案に乗り、紹介者のKさんとお会いすることになるのであった。

Yさんの師匠に出会う

某日ロイヤルホストにて。

僕はYさんの紹介者であるKさんに会うために、麻生にあるロイヤルホストに向かった。

それにしてもどんな人が来るのだろう。

Yさんの事前紹介で、僕はKさんに少なからず興味を持っていた。

北海道で最もグループを拡大しているトップリーダーの一人。

Yさんの師匠であり、ネットワークビジネスの「いろは」を教えてくれた人。

興味深い。

Yさんと二人で待っていると、Kさんがお店にやってきた。線は細く、メガネをかけていて明るい表情をしている方だった。

Yさんとは全然タイプが違う。軽く話をしただけでそう感じた。Kさんの雰囲気は明るく、人を惹きつけるカリスマ性のようなものがあった。

挨拶もそこそこに、KさんはF社のビジネスについて話をしてくれた。

Kさんの話はとても簡潔で、要点を非常に分かりやすく伝えてくれた。おそらくKさんとは、1時間も話をしていない。

しかしKさんの話は、僕が今まで解決できなかったビジネスの壁を解消してくれるものであった。

Kさんの話で一番印象に残っている話がある。

それが「縦ぼり」である。

「縦ぼり」とは、紹介者を縦にどんどん繋いでいく作業のことである。「縦ぼり」をしていくことで、自分の直紹介が少なくてもグループ人数は増えていく。

それだけではない。

もし仮に、末端のメンバーがもしやる気になって紹介を出していったとしよう。報酬プランによっては、間にいる全員が報酬を受け取れるようになる。

すると間にいる全員にメリットのある状況が生まれるのだ。実際問題、金銭的な理由で製品の愛用をやめてしまう方もいる。

しかし、縦ぼりができることで製品代が半額、無料くらいの報酬を得られる可能性は高くなる。報酬で製品代が無料になれば、愛用者をやめる理由はないだろう。

そうなると、愛用目的で入った人もやめないのでリピート率が上がっていく。強固な流通組織ができあがるのだ。

さらに、愛用者でスタートした人でも、周りの友人に口コミをして数人の紹介を出すパターンも珍しくない。

縦ぼりがマスターできれば、そこから数十人、数百人のグループができてしまうことも十分に考えられるだろう。

この「縦ぼり」の考え方には、カミナリに打たれたような衝撃を受けた。

ネットワークビジネスに関わった場合、いくつか悩むポイントが出てくる。

代表例を挙げると、

「伝える人がいない」
「アポイントが取れない」
「アップラインに繋げられない」
「直紹介が出せない」
「グループを拡大できない」

ステージによって悩みは変わってくるが、現場からはこのような悩みが多く出てくる。

僕は「グループを拡大できない」という悩みを越えられずにビジネス活動をやめてしまった。その最大の原因は、ビジネスをチーム戦で拡大することができなかったからだ。

グループ内に、一緒にビジネスを拡大させようと頑張るパートナーが多ければ多いほど、ビジネスは加速していく。ただ、これが想像以上に難しい。人のメンタルは、簡単にへし折れてしまうからである。

しかし「縦ぼり」ができると、その問題は一気に解消されてしまう。少ない紹介でもビジネスメンバーには、収入を取らせてあげられるし、愛用者にも多少の還元をしてあげられる。

愛用者がやめなければ、長く継続する流通網になり、強固な継続収入の仕組みになる。

ネットワークビジネスで長期間成功を続けている人は、このように組織拡大をしているのか。

本当にすごいと感心した。

もちろん、口で言うほど「縦ぼり」は簡単ではない。長年ビジネス活動を続けてきたプロだからこそできる業なのだろう。

Kさんは、以前違う会社で最高120段「縦ぼり」をして数万人の組織を作った実績がある。プロの仕事は、アマチュアとは全くの別物だと感じた。

こういう人達のスキルを身につけてみたいという思いが少しずつ出てきた。

しかし、M社のビジネスに関わっている以上、いまさらほかの会社に移るわけにはいかない。

Yさんからは「一度でいいからF社の製品説明に来てほしい。そこで現場がどうなっているか確認をしてほしい」と提案を受けた。

「んー、どうするべきか」

このままズルズルと流されてしまいそうな気がする。

どうする…?

どうする、おれ…

どうすんの…!?

・・・

・・・

第12話につづく

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